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その後もいくつか料理が運ばれてきた。
その中には焼き魚やお浸しといった和食もあれば、ハンバーグなどの洋食もあった。
炒飯なんかも出された。
そういえば、焼き魚は、骨が綺麗に抜かれていた。
かなりの種類を食べたと思うが、どれも少しずつだったからか、あまり腹は満たされなかった。
不満はそればかりではない。
これといって真新しいものがないのだ。
初めの飲み物を除き、確かに料理は美味いのだが、どこでも食べられるような物ばかり。
言ってしまえば、わざわざこんな場所まで来ずとも、家で食べられる程度だった。
またウエイターが、料理を持ってやってきた。
「それはもう下げてくれ。それより、この店で一番美味い物を持ってきてくれないか?」
皿に盛られた物を見もせず俺が言うと、彼は首を少し傾げ唇をぎゅっと結び、困ったような顔をした。
「そうですか。ですが……」
そう言いながらウエイターは、何故か妻の方を横目で見やる。
すると妻は首を小さく縦に振っていた。
「かしこまりました。すぐにお持ち致します」
妻に何を確認したかったのかは分からないが、彼は踵を返した。
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