老夫婦と食堂

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甘辛いような良い匂いが立ち込めてはいるが、ここには客が居ない。 まさか記念日につき貸し切り、という訳でもないだろう。 「おい、今日は何の記念なんだ?」 妻は相変わらず外を眺めているだけで、答えない。 吊られて外を見たが、ただ木が生えているだけだ。 仕方なく、何か記念すべきものがあったかと思慮を巡らすが、今ひとつピンとこない。 少しして、ウエイターが戻ってきた。 右手にはトレイがあり、その上にはコップが二つ載っている。 中には白に、ほんの少し黄色を混ぜたような色の液体が入っていた。
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