老夫婦と食堂

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「まずはこちらをどうぞ」 音も立てずにコップを置き、ウエイターが言った。 ストローが挿さっていたが、使わずに飲む。 やたらと甘ったるく、喉に掛かる感じがあった。牛乳のようだが違う。 不味くはないが、よく分からない味だ。 山をひたすら登り、涸れていた喉に、さらに追い討ちをかけるようだった。 「すまないが、水をくれないか」 まだ飲み物だけだ。 期待はずれだからと言って、そう怒ることでもない。 それに喉が乾いていなければ、もう少し美味いものなのかもしれない。 そう自分に言い聞かせ、出来るだけ穏やかにウエイターに言った。 「かしこまりました」 そう言う彼は少し落ち込んだようにも見えたが、すぐに水を運んで来てくれる。
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