10人が本棚に入れています
本棚に追加
「まずはこちらをどうぞ」
音も立てずにコップを置き、ウエイターが言った。
ストローが挿さっていたが、使わずに飲む。
やたらと甘ったるく、喉に掛かる感じがあった。牛乳のようだが違う。
不味くはないが、よく分からない味だ。
山をひたすら登り、涸れていた喉に、さらに追い討ちをかけるようだった。
「すまないが、水をくれないか」
まだ飲み物だけだ。
期待はずれだからと言って、そう怒ることでもない。
それに喉が乾いていなければ、もう少し美味いものなのかもしれない。
そう自分に言い聞かせ、出来るだけ穏やかにウエイターに言った。
「かしこまりました」
そう言う彼は少し落ち込んだようにも見えたが、すぐに水を運んで来てくれる。
最初のコメントを投稿しよう!