1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
光
「ん…あれ…僕は確か神社に…」
光はうっすらと目を開く。そこには神社どころか、鳥居も見えない。薄暗い森の中に居た。
光
「あれ…おかしいな。いつの間に森に来たんだ?」
辺りを見ても分からない。右も左も方角ですら分からない。しかし手には里利亜の墓の目標であった木刀が握られていた。
光
「やはり僕は一歩も動いてない…まず人が居そうな所を探そう…」
そう言うと、光は取り敢えず歩き始めた。
しかし、歩いても歩いても見えるのは木、木、木。元々衰弱していた光は森の道を歩くだけでもつらかった。
光
「ははは…まるで富士の樹海に来たみたいだ…」
精神的にもつらいのか、自身を自虐し、口元だけ釣り上げた笑みを浮かべている。他から見たら本当に自殺する人のように映るだろう。
しばらく歩いていると、周りから草や枝を踏む音が聞こえて来た。
光
「人かな…いや、森だから獣の類いかな…」
念の為、木刀を構えて辺りを見渡す。人か、獣か。光はそう思いながら足音を待っていたが…
目の前に来たのを見て光は待ったのを後悔した。光が見たのは二つの選択肢のどちらでもない…
光
「夢…じゃないよね…」
化け物だった。
最初のコメントを投稿しよう!