≪ 教育実習生 ≫

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「やだよ…なんで行っちゃうんだよ…」 「……桐野?」 この鈍感バカにはちゃんと言わないと理解できないんだ… 「俺は…英祐に優しくされたいんじゃねぇ……お前に優しくされたいんだよ」 「……………。」 ちゃんと伝えないと…分かってくれない… 「…お前が……好きだから……だから…行かないで……」 「……………。」 そう言って両腕に力を入れて俺から離れないように強く抱きしめた その広い背中に顔を埋めるとスゴく温かくて…安らいで…このまま去ってしまわないように仔犬のように素直に体を寄り添う… すると俺の強く絡みつけた腕を少し緩めるように南雲が手を置いた…そしてゆっくり体を俺の方に向き直ると優しく擦るように肩に手をかける… 怯えながらも顔を上げると…… さっきとはまるで違う優しい表情をして見つめる南雲がそこにはいた…
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