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六月──。梅雨の、この時期特有のじめじめとした空気。窓の外では昨夜から続く雨が雨脚を少しずつ弱めていく。 6時になってもいない、まだ早朝と言える時間。 物心がついていたのかどうかも分からない頃から、六月になると、いつも見る夢がある。 夢の内容は、殆ど覚えていない。 ただ、“誰か”と、とても美しい景色の中で、たくさんの“何か”に囲まれ、或いは二人きりで、大空<ソラ>を見上げながら、或いは大地<チ>を見下ろしながら言葉を交わす。 回りにいる“何か”のことも、隣にいる“誰か”の顔も、そして交わした言葉も目が覚めると同時に霞がかかったように曖昧になっていく。 ,
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