1.変化する日常

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あの日、母と一緒に眠ったあの日、母は帰らぬ人となった。 私が目を覚ますと母の息は止まり心臓も動いてはいなかった。 泣き叫び、父を呼んだ時にはもう死んでからかなりの時間が立っていたようだ。 後々父に聞いた話だが、母の体は相当に悪かったらしい。 あの日病院から帰れたのは… いや、帰れたのではなかった。帰らせてもらったのだ。 母の体はもう、いつ壊れてしまってもおかしくなかった。だから本人の、最後に家族に会いたい。家族の中で死んでいきたいという強い意志が尊重されたのだという。それからというもの、子供の頃は時折この夢を見ては泣いていた。 その度にそこまで弱っていた母に気づく事が出来ない自分を悔やんでいたものだ。 それでも数年前からは、ふと見なくなったのだが、今になってこの夢を再び見てもやはり、いつもの想いが自分の胸を刺していた。 「お母さん…」 私は切なさに唇をぎゅっと結んだ。そしてそれと同時に何か嫌な予感も感じていた。 今になって、今の今まで見なかったこの夢を見たという事が引っ掛かる。 悪い事が起きるかどうか、それは分からないが、何かの前触れではないか、それだけは警鐘のように私の中で響いていた。
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