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正直、シャワーの魔法原理と方法を考案した人は素晴らしいと思う。
今までが薪で沸かしたお湯を使っていただけにしみじみそう思わされる。
私は洗濯かごの前でパジャマを脱ぎ棄て、下着を外し、かごに突っこみ身一つの格好になってからシャワールームに入ると、何も考えずにシャワーの栓を開き、銀髪の上から思いっきり水を浴びた。
まだまだ温度が安定してなくて、冷や水を喰らう事になったが、それでも寝汗でべたついた体は喜んでそれを受け入れた。
体を小さいタオルでさすりながらふと、目の前の鏡へと目を向けた。
肩より低い位置まで伸ばした銀髪が光を浴びて煌めいている。
その下には二つの青い瞳が頼りなくこちらを見つめていた。
「恋しいか…」
肌にお湯の雨を受けながら、その音にかき消されそうな声でそう呟いた。
どちらも母から受け継いでいたものだけに気持ちが、またもやこみ上げてきた。
正直言ってまださっきのを引きずっている。
(もし…、お母さんが生きていたら…か…)
その自分で立てた推論に翻弄されていた。
もし母が生きていたら、きっと間違いなく私は自分勝手な生き方をしていたと思う。
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