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母や父に任せきりにして、家庭を顧みず、ただ自分の信念を貫き通すために動き回っていたに違いない。
そう思うと、いっそ今の通りの人生で良かったのだと思える。
(いや、そうでもないね…)
今の人生もそんなに良くもない…
いいや、それも違う、それは自業自得だ。
自分の生き方が今の自分の有り様を作っている。情けなくて自分でも嫌になるような自分の生き方を作っているのだ。
それを運命だのなんだのそういう筋に入れ込むのは思い上がりもはなはだしい。
ならその生き方を変えるために努力すればいい、と簡単にも言えない。変えたくても、変えようにも変えられない。
そして変える事が出来ても、それをするだけの勇気が今の自分からは枯渇している。
「酷い奴ね…私って…」
自嘲ぎみにふっと笑った後、私はシャワーの栓を閉め、シャワールームを後にした。
手近なタオルを手に取り体から水分を拭い、手早く着替えを始める。
この年になってもう少しおしゃれでも何でもすればいいのに、なんてティナには言われるが、仕事がある限りは武骨な制服だし、個人的に最近はそれが楽になってきている。
正直そっちに気を回すほど気持ちに余裕がない。
最後に制服の上着の袖に腕を通し、洗い髪にさっきのタオルを乗せると、私は洗面所の扉を開けた。
「お先…」
「あっ、シズク先輩、おはようございます!!」
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