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けれど私の印象はそれだけに留まらなかった。彼らから見せられる視線がこちらをふと見た時だった。
「…!!」
(あの目…)
今までそう言う人間に何人も会った事があるから良く分かる。あれは…。
「どうしたの、シズク?」
ティナが私の様子を見てそう尋ねる。
そう聞かれている最中も私の視線は彼らに向いている。
「気をつけた方がいいかも…」
「え?」
そして、私の勘は当たった。新入生の彼らの横を縫うように両腕にたくさんの資料を持った彼女、ヴェールが入って来た時、彼らの眼の色が一気に変わった。
(まずい!!)
私は急いで走り出した。このシチュエーションで彼らがやる事なんて目に見えていたからだ。
「よいしょ、よいしょ…」
ヴェールがようやく最前にいる男性の横を通り過ぎようとした時だった
男性はぱっと左足のかかとを立てると、資料で足元の見えていない彼女の足に引っ掛けた。
「きゃっ…」
そんな状況で彼女がその行為に気づくことができるはずもなく、彼女の足はそれに取られ、急激にバランスを崩し前のめりへと倒れて行く。
資料は宙を舞い、地面へと順に落ちて行く。そんなことはどうでもいい。それよりも問題は彼女の身だ。
彼女がこのまま前に突っ込めばその前にあるのは、過去に作られたため角の丸みなんて付けられているはずもないとがった角の机だ。
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