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誰もが最悪の事態を予想した中、彼女の身は机の角ではなく、事前に走り込んでいた私の胸の中に収まった。
柔らかい体の感触を感じたとともに安堵の感情が体に落ちた。
危なかった。ギリギリだった。あと少し動くのが遅ければ…、それは考えるだけで恐ろしい。
「大丈夫?」
「は、はい…、ありがとうございます…」
ヴェールは少し顔を赤らめると、ゆっくりと頷きそう礼を言った。
「はははっ!!」
私が彼女に無事を確認していると、その様子を見ていた、先ほどの足を引っ掛けた男性が大きな笑い声を挙げた。
緑色の短い髪の下、若い面持ちに憎たらしいほどの笑みを浮かべる彼に私は睨みを向けた。
「何こいつ、面白すぎるんですけど?」
「ちょっと、言いすぎだよ~?本当だけどさぁ」
「足元がお留守なのが悪いんだからいいのよ」
「くすくす」
順番に、もう一人の赤毛長髪の男性隊員、茶髪のミディアムヘアの女性隊員、金髪のロングヘアーの女性隊員、そして最初の男と同じくらいの緑色のショートヘアの女性隊員が続け様に憎らしい台詞と態度を見せつける。
一人一人が前に出たおかげで一人一人の表情が良く分かる。
そして女性に関してはさらに、そのケバイとも言えるほどの厚化粧が目に、鼻につくきつい香水の匂いが鼻についた。
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