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「ヴェルちゃん!大丈夫?」
「うん…」
私が彼女を立たせると、ノエルが駆け寄りその肩を抱いて尋ねる。
大げさな抱きつきにヴェールはまだ呆然としている。
二人共の行動は無理もない。ヴェールはヴェールでいきなり起きた事に対応できていないだろう。
一方でノエルの方はもっと分かる。一瞬顔色が真っ青になりそうな、そんなぞっとした光景を見せられれば誰だって大げさになる。
「うわー、こりゃ派手にやられたわね」
「だね」
「あっ…すみません…」
「拾うくらいで謝らなくてもいいよ」
一緒に駆け付けた、ティナとエルが資料を拾うのを見てヴェールは慌てて謝罪するが、当の本人達はそんなことどうでもいいと言った感じで、むしろ拾った資料が彼女たちの手圧でくしゃり始め、あれじゃあもう会議に使えないといった始末になっている。
だからと言って彼女たちを責めることは出来ない。きっと私も拾っていたらああなってるから…。
それほどまでに“私達は”怒っていた。
ヴェールをノエルに任せ、私は新入兵たちの前に躍り出て、そして口を開く
「貴方達、もう適当な理由すらつける気ないんだね」
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