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「ああ?」
きっ、と睨んでやると、向こうからしたら眼を飛ばされたと判断したのだろう、特に男連中が素早く反応してくる。
「なんだあんた?俺らはなぁ…」
「知ってる。新しく入って来た隊員でしょ?すぐに分かった。隊の全員を把握してるわけじゃないけど、こんな陰湿な奴らは初めて見たからね」
(本当はもっと陰湿な奴を知っているけどね)
去年の夏、妹を人質に取ってまで私を貶めようとしたあの男に比べればまだ可愛いくらいだが、それを除いたら間違いなくここまで露骨なのは初めてだ。
「なんだと、この女!」
ただ、初めてじゃないのは…
(こういう対応をすると大体は殴りかかって来るんだよね)
「せい」
私はため息をつきながら、その拳を避け、蹴りを見舞って差し上げた。
「ぐふぉ!」
なるべく痛くないように、当たりどころも外したのだが、緑髪の男は床で転がりながらうめき声を上げ続けている。
まったく情けない。
これからどんな怪我をするかも分からないのに、よくこの職場を選んだものだ。
「てめぇ…、よくも…」
「勘違いしてない?学校から選ばれた特別枠だかなんだか知らないけど、それでここで一番偉いとか思っているとか笑わせるわ」
地面に這いつくばる男をここぞとばかり見下げながら、鼻で笑った。
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