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私は思わず腕の力を緩めおそるおそる尋ねる。
「いつまでいれるの?」
それはいつ病院に戻ってしまうのかということ。
囁くような私の声に母は腕の力を強めた。
「いれる時まで」
よく分からない答えに私は首を傾げた。
「いつ?」
「わからないわ。だからいれる時までよ?」
母は少し困った笑顔でそう言う。
はっきり言わない事にあまり納得のいかない私だったが、とりあえずは笑顔に変える。
「じゃあ分かるまではいれるんだ」
「ふふふ、そういうことよ…ゴホゴホッ」
「大丈夫?!」
せき込むだけで不安になる。また悪化してしまったのかと思っていしまう。また病院に戻ってしまうのかと思ってしまう。
私はお母さんの背中に回るとゆっくりとした手つきで背をさする。
少しでも良くなるように、直りますようにと祈りを込めて。
「…大丈夫、ちょっと咽ただけよ」
「よかった…、あっ、そうだ!コユキとセツナは?」
私には二人の妹がいる。
一人はセツナ。剣術好きな活発な一つ下の妹。
もう一人はコユキ。セツナとは打って変わって大人しい子で、本を読むのが好きな三つ下の妹である。
私達は三人とも母と同じ銀髪の髪をしていた。
「セツナは学校から帰ってお昼寝、コユキもその横でぐっすり」
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