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「お母さん、おなかすいた」
きのうからなにもたべさせてもらってない。もうよる。
だから、お母さんにおねだりしてみた。
「…………」
お母さんはぼくをみないでずっと、妹のためにりょうりをつくってる。
あきらめて、妹とあそんでるお父さんにはなしかける。
「お父さん……」
やっぱり、みてくれない。
「お父さん、おなかすいた」
「うるさいな。日日日と遊んでるのが見えないのか?もう六歳なんだから、ご飯くらい自分で出来るだろ」
れいぞうこかってにみてたら、おこったくせに。
妹をみる。かちほこったようなかおしてる。
きっとこういいたいんだ。
おまえとちがって、わたしはたいせつにされてるって。
ようちえんにだって、わたしはちゃんといけるし、ともだちもいるんだからって。
ぼくはがっこうにいかせてもらえないから、ともだちもいない。
おじいちゃんもおばあちゃんも妹をできあいしてるから、たよらない。
さいしょはかなしかったけど、もうかなしくない。
にんげんはなれるいきものだって、本にかいてあったのをおもいだす。
なれちゃった。
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