B2―聖地―

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「嘘だろ……?」  あるべきモノが何もない。  年明けで賑わっているはずの町には、人も車も……  いや、それだけならばまだいい。それくらいであれば、偶然という一言でいくらでも片付けられる。  たまたま誰も居らず、何もなかったのだと。  しかしこれはなんだ。およそ生物の気配はどこにもなく、さっきまで晴天を覗かせていた空も、薄紫色の不気味な空間へと変貌を遂げている。 「なんだこれ……なんだこれなんだこれ! なんなんだよこれ!!」  俺は焦燥感に掻き立てられ、がむしゃらに走り出した。  だが、それは唐突に停止させられることになる。 「あっつ……!?」  右手に浮かぶ奇妙な紋様。  どこかで見たことがある。でもどこで……? 「さっきの夢!?」  そうだ。この紋様はさっきの夢の中ででてきた紋様だ。  俺がそれを確認した刹那――空を切り裂いて一人の男が舞い降りてきた。  それは紛れもなく、夢に出てきた――神!! 「貴様が――」  その先の言葉を聞き取ることは出来なかった。  何故なら……。 「おはよう、いい夢が見られたかしら?」  目の前には幼なじみがいる。  俺は叫んだ。 「夢かよ!」  まさかの二重の夢オチだった。 ━━━━━━━━━━━━━ 【結】牡牛ヤマメ
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