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いや、そんなことはどうでもいい。彼らの乱入でわずかに隙ができた。できるだけ静かに一歩進み、そのまま一気に駆ける。
「なにをっ……」
それ以上言わせる前にそのデジモンの顎を蹴り上げ、プロットモンを押さえていた手を浮かせる。そのまま空中で体をひねって、隣でロップモンを押さえていたデジモンの右側頭部を反対の足で蹴り、その横でパタモンを押さえていたデジモンに体当たりさせる。そのまま壁に叩きつけられた彼らと一番最初にけったデジモンが、そのまま気絶したのはうれしい誤算だ。まともに戦った記憶はなかったが先ほどのグリズモンとのやり取りで、なんとなく自分が普通の成長期とは何か違うとは思っていたがこれほどまでとは。
なんにせよ人質は解放できた。こんな村さっさと出てしまおう。
「えっ……」
そう言おうとした僕が見たのは大剣で腹を貫かれて徐々に体が消滅してゆくロップモンの姿だった。データの血溜まりを見れば、同じように血液データを撒き散らして粒子化をはじめるプロットモンとパタモンの姿が。
「なんだよ、これ……」
そう言ったが、分かりきっていた。このような場に遭遇したのは二度目だから何が起きたのか分かっていたし、ロップモンの体に深々と突き刺さっているものから誰がやったのかも分かっていた。
「……ディノヒューモン!」
先ほど乱入してきた彼をグリズモンはそう呼んでいた。間違いない、人型である彼がロップモン達を、僕の仲間を殺したのだ。
「なぜ怒るのだ、同志よ。ただ、野蛮な獣型を排除したというだけではないか。人型として当然の行動ではないか?」
「ふざけるなよ……」
なんなんだ、こいつらは。プロットモン達が野蛮な獣型だから殺されただと……彼らのことを何も知らないくせに。
……ちょっと待て。なんだこのデジャビュは?
その疑問の答えは記憶をたどればすぐに明らかになった。
――ソーサリモンが残忍な人型だからと言って殺したお前だけは!
そうだ、ソーサリモンがムースモンに殺されたときも同じようなことを思ったんだ。……なんだそれ、人型も獣型も結局同じようなものじゃないか。
「ディノヒューモン、貴様……よくも我ら獣型の同胞を!」
グリズモンのその台詞が引き金となっ人型と獣型の争いが始まる。狭い家を飛び出して村全体での総力戦と化す。
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