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だが、世界はタイミングが悪いことが好きなようだ。つくづくいやになる。
「帰ってきたですー……って何事ですかーっ!?」
「これは一体……」
「グリズモン、あんたね!」
帰ってきたパタモン達に僕は何も言えない。だが、彼らは聡明だ。瞬時に何が起こっているのか分かったようだ。
「やはり貴様らか……家を我らから少し離れたところに建てた段階で不思議には思っていたがな。まさか人型とつながっていたとはな……貴様らは獣型の恥だ!!」
「っ! あんたねぇ……」
まずい。プロットモンのスイッチが入ってしまったようだ。止めろ、ここは抑えてくれ。
そんな僕の願いは通じず、彼女は堰を切ったように話し始める。
「なんでそんな風にしか考えられないの! なんでルーチェモンを人型という種族としか見れないの! 彼があなたたちに何をしたっていうのよっ!!」
「分かってないのは貴様だ! 人型であるという前提自体が大問題なんだ!」
「どう問題だってのよ!?」
「奴らは残忍な種族なんだっ!!」
売り言葉に買い言葉。数倍の体格差など関係ないように二人は言葉をぶつけ合う。その姿に僕を含む全員が何も言えなくなる。……って、まずい! 危険すぎる。いつグリズモンが武力に訴えるかわからない。
「何も知らないのはあんた達よ!」
「貴様が知った風な口を利くなああっ!!」
「……っ!」
と、思った瞬間にグリズモンが右手を振りかぶってプロットモンに殴りかかる。……だが、そうはさせない。
「くっ……」
反射的に彼女の前に飛び出し、その拳を受け止める。不思議なことにあまり痛みはないが、力に逆らいはせずに再び距離を取る。
「なんで同族にまで手を上げるんだよ」
「分からずやに指導してやろうとしただけだ」
「分かってないのはどっちだよ……」
「ほざくな。人型の屑が」
グリズモンとにらみ合いながら、互いに吐き捨てる。やはり、こいつらとは相容れない。プロットモン達ももうここにはいられないだろう。悪いがまた引越ししてもらうしかなさそうだ。
「……僕達はこの村から出て行く。もう戻ってこない。それでいいだろう?」
「そういうわけにはいかないな。仲間に密告されるかもしれん」
やっぱり簡単には無理か。……だったら傷つくのは僕だけでいい。
「だったらプロットモン達だけは見逃してくれないか?」
「何……?」
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