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「もー、超ビビったんだけどぉ!まじで無愛想!性格わるーい!」
「眼帯もつけてるから表情もよくわかんないじゃん?超こわいよねぇ。」
「前髪も長いし、陰気だよね。クールぶってるけど、完全に空回りじゃん!」
ケタケタと甲高い声で笑う。
俺には耳鳴りのような不愉快さを感じてしまう。
誰がいつ、クールぶったんだよ。
女子っていうのはまったくデマをつくるのがほんと好きだな。
人に聞こえるように陰口をいうとか、
そっちのほうが十分性格悪いと思いますけど?
と、思いながら、俺はトイレに避難するために席を立った。
トイレに入って、俺は個室に入った。
小さな鏡をポケットから出し、眼帯をはずす。
未だにすこし自分でも慣れていない、自分の左側の顔。
いつも鏡を持つ手が震えてしまう。
そこに映る自分を自分だと信じたくなくて…。
左側の全体に広がる無惨な、火傷のあと。
左目は火傷の傷が深すぎて、半目よりもひらいていない。
火傷はグロテスクという言い方がまさにそれ、と言いたいくらいのひどさだった。
ただれたように赤く跡として残っている。
眼帯をしていても火傷のあとがはみだしてしまう。
それを恐れた俺は前髪までのばしてしまった。
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