4月

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曇りだった。 まるで、俺の心を表しているかのような。 お気に入りの太い茶色と細い水色、黄色が入ったストライプのシャツと黒のパンツを履くとスカイプラネットをうなじと手首に吹き付ける。 柑橘と石鹸の混じったフレグランスが部屋に漂う。 それでも心はやはり曇りであった。 俺、北条陽人(ほうじょうはると)は今日から大学一年生。 世間で言えば浮かれてもよいところだが、第一志望に見事に落ちた俺にはまだどこか未練が残っていた。
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