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ダンジョンは消えて今は森の中に3人で佇んでいる。
「あっはっは!流石はナイア。マスターは凄い約束させられちゃったね。」
「ああ…本当に俺なんかに何を期待してるんだろうね。」
涙を拭いながら答える。ナイアとの約束を守れるだろうか?
「まあ、約束したんだし、やるしかないんじゃないの?僕も君が作る混沌とした世界見てみたいもの。」
こやつ、なぜに俺が作る世界は混沌していると決めつけるのだろうか?
「やるしかない…か…そうだな…。いつまでもくよくよしててもしょうがないよな!…帰って世界戦略を練ってやるぜ!」
空元気だ。でも、今はこうしないと潰されそうだ。
辛い…。
異世界に飛ばされてから、今まで2人で頑張ってきたのだ。
正直、半身をもがれたような気分だ。
「お兄ちゃん…強がらなくていいんだよ。今は泣いて明日から頑張ればいいよ。」
俺の辛さをククリに見抜かれてしまう。
「くうう!そんな事言われたら泣いてしまうじゃないか!」
俺はククリにすがりつき涙が枯れるまで泣いた。
俺は、泣き疲れてからキムチャ達に連れられダンジョンに戻った。
その後もベッドに突っ伏し1人泣き続けた。
しかし、俺の扉を叩く音がする。
…今は人と会う気がしないのでノックを無視しているがどんどん音が大きくなる。
ダン!ダン!ダン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ズドンド!ズドンド!ズドンド!
ちょっ!扉壊れちゃう!
明日から頑張るから今日だけは1人泣いてもいいじゃないか!
仕方なく扉を空けると、そこにはスライムを抱いたククリがいた。
「大変だよ!お兄ちゃん!このスライムってさ!ほらナイアさんの!」
ククリは焦っていて用件が伝わらない。ナイアのなんだろうか?
すると、スライムが奇妙に動いた後に俺に飛びかかってきた。
「ぎゃああ!なぜ俺を取り込むんだあ!…はっ!この感覚!…ナイアなのか!?」
包み込まれる感触…この独特な動き…この俺が間違える訳がない。
なぜだ?
そこで思い出す。ナイアの能力…《分裂》分裂した物も本体であり、同等のステータスを持つ。
前も分裂したナイアの一体を還元した事があるが、その時も残ったナイアは無事だった。
そして、俺のダンジョンには分裂したナイアがスライムに変化してうろついていた。
「も…もしや!?」
スライムが喋りだす。
「てへぺろ☆世界征服して私に捧げてね。」
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