知らない部屋

3/8
前へ
/562ページ
次へ
羊皮紙は元々濡れていた為、火自体は弱かった。 まともに燃えていたら大火傷だったろう。 羊皮紙は水溜まりに落ち、燃え尽きずに残っている。その下には、黒い本がいつの間にか出現していた。 「ふう…ここが俺の部屋になるのか…」 見渡すとかなり混沌とした状況である。調子に乗らなきゃよかった。 ベッドにある藁で身体を拭き取り黒い本を読むことにする。 「とりあえずベッドと椅子以外は使い物にならんな‥それ以外を還元!」 『羊皮紙と残骸を101ポイントで還元しますか?』 部屋の中に響き渡る機械的な声。 「承認」 ルールに基づき還元を試してみる。するとベッドと椅子以外は消える。 ああ…床は濡れたままだ…流石に還元してもらえませんでした。 黄金水だぞ!何故還元されん! ごめんなさい。価値などある訳ないですね。とりあえず、床をどうにかしないと… 黒い本の生活の項を見る。 掃除セット1Pでバケツ、箒、雑巾、ちりとり、はたきの5点セット。 これにしよう。 異世界にきて初めての召喚が掃除セットって… 『1ポイント使用して掃除セットを召喚しますか?』 「承認!」 目の前に一瞬で現れた何の変哲もない掃除道具。早速掃除をしようとするが水場がない。 生活空間を確保せねば…トイレ…キッチン…風呂…黒本を読み漁る。 そこで一つ目に付く、初心者住居セット? そこにはこう書かれていた。 超お得!6畳1間にキッチン、ユニットバス付きで10P! 貧乏学生並みですね。 「承認!」 すると部屋に扉が現れた。 中に入ると6畳の部屋。 更にキッチンとユニットバスがある。 ああ…トイレ… 万感の思いで便器に頬擦りする。 これを求めていた!!何故最初からついていないのだ! …改めて掃除をして落ち着いた。
/562ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35434人が本棚に入れています
本棚に追加