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目が覚めると知らない部屋にいた。
ベッドというには固すぎる。申し訳程度に藁だけ乗った台で寝ていた。
「ここは…どこだ?なんで俺はこんな所で寝ていたんだ?」
部屋は3畳程度で石に囲まれた密室。
部屋の隅にはトイレという名前の壺がある。
壁の一面は鉄の棒が縦に並び、まるで俺を閉じ込めるようだ。
あぁ、うん…。
…牢屋の中だわだ…これ。
………………
既に捕らえられてから3日が経過した。
「うーん。どうしたもんか…」
牢屋の中で一人考え込む。
直ぐに解放されると思っていたが、全くそんな気配はない。
むしろ、看守さんに「はは!あんな国家反逆罪は見たことねーよ!…え?もちろん国家反逆罪は死罪だろ?」って言われて少しチビった。
えっ?俺、死ぬの?ちょっとみんなの前でハシャいだだけなのに?
自慢の息子を紹介しただけなんだよ。皆に世界を救ったのは俺の息子なんだぜ?って。
確かに息子は当時、雄々しく立ち上がっていた。
天に顔を上げて誇らしげにしていた。
確かに親としても息子の態度は、少々傲慢だったと思わなくもない。
だが、しかし、息子はまだ若く一人前にもなっていない。
社会にも出ていない、純真無垢なままなのだ。
「俺、まじ半端ないっすよ。」と少々、いきがりたい年頃だ。
しかし!息子は、やってやったのだ!他の若者と違い、いきがるだけでなく、世界を救うという偉業をやりとげたのだ!
そんな息子を俺は、ただ誇らしく思う。
なのに非難されるなんて筋違いだ!むしろ、民衆は俺の息子を神々しい物を見る目で拝めてもいいくらいだ!
世界の救世主なんだぞ!神として祭り上げあれてもいいくらいだぞ!
…そうだ!神だ!
俺の息子は神なのだ!
新興宗教を立ち上げろ!街の中心に俺の息子の金の像を建てろ!でっかい奴だ!
…まあ、でも仮に本当に息子の金の像が建てられたとしよう。
それを誰かが「これが我々が崇める神の像だ!」って誇らしげにしてたら、正気を疑うけどさ。
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