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…………………
それから一週間が過ぎた。
もはや慣れ親しんだ固いベッドに座りながら気付く。
「…これ、あれだわ。皆、俺を助ける気がないパターンだわ…」
そう、このまま何もせずに牢屋にいたら死刑になるパターンだ。
ならば方法は脱獄しかないのではないだろうか?
捕らえられた兄を助け出すために前代未聞の監獄破りだ!
閉じ込められた凶悪犯を引き連れて世紀の大脱走だ!
脱獄中に伝説のおかまを仲間にしたり、昔、戦った奴等と仲間になって血と涙と汗の一大スペクタルを巻き起こすんだ。
…あ!でも伝説のおかまも、昔、戦った奴も既に仲間に居るから要らないや。
…………………
脱獄を決意したものの次の日には釈放された。
一体、俺の決意は何だったのだろうか?
「もう二度と来るなよ。」
ここは牢獄の入り口。その門から出た俺は看守さんから熱い包容されながら説教をされていた。
「はい…お世話になりました。」
「君は、まだ若いのだからいくらでもやり直せる。真っ当に生きていきなさい。」
8日間で看守のおじさんと仲良くなった。
親身になってくれたよい人だった。
「マスターが真っ当とか絶対無理ですわ。」
そんな俺と看守さんの包容を冷めた目で見ているのはカグラだった。
一応、見受け引き取り人として皆、迎えに来てくれた。
良かった。俺、見捨てられてなかった!
「あっはっはっ!看守さんとは長い付き合いになるんだから、また戻って来ますって挨拶した方がいいんじゃないの?」
それって、また捕まるって事だよね?
そんな失礼な事を言うのはキムチャ。それでも迎えに来てくれる辺りツンデレだと思う。
「俺に出来ること…考えてみます!おかげで目が開きました!」
満面の笑みで「お前なら出来る」って感じで頷く看守さん。
「あっはっはっ!君が開いてるのは目じゃなくて膀胱括約筋だけだろ。」
ぬうぅ!やっぱりキムチャめぇ!!
「うっほ!いい包容!」
そして俺と看守さんの包容の間に滑り込もうとしてくるアベード。お前は本当にブレないな…
「………隊長に抱きつくなんて…殺す。」
溢れ出す殺気を隠そうともしない兵士A。あれ??いつの間にかヤンデレ属性ついてないか?
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