162人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、これって携帯からじゃなくてパソコンから送信してるよね。これじゃ相手が特定出来ないね。写真も手が加えられているかもしれないしさ。」
「特定するつもりないし、もうどうでも良いしそんな事。」
「…咲楽ちゃんさあ、ちょっと厳しすぎじゃない?桐也さんなんて絶対モテるんだからさあ、一度くらい見逃せば?変に誤魔化す男より全然良いじゃん。謝ったんじゃないの、桐也さん?」
圭は諭すように言うと勿体ない、と溜息を吐く。
「勿体ないのは私の時間よ。女ったらしは今に始まった事じゃないし、治るとは思えない。これ以上は時間の無駄。サッサと別れて次を探す。」
私がキッパリと言い切ると、圭はうんざりした顔で私を見た。
「他人の過ちには厳しいのね。反省しているんなら許してあげれば良いじゃん。」
「應治は反省してない。ヤッた事は認めたけど、私には言う必要ないって言い切ったもの。」
「そりゃヤッたって報告する男はいないでしょ。でもまあ開き直られるのも頂けないけどね。」
「誓約書書かせて、破ったら婚約破棄の慰謝料取るとかは?」
あんな物件、探したってもう見付からないから片目瞑って浮気容認しろと圭は食い下がる。
でも、許せないのだ。
あの日お粥まで作ってく看病してくれたからこそ、そんな應治に心を許したからこそ裏切られた事が許せない。
だったら適当にあしらってくれれば良かった。
「冷静に話し合いをする為にも私が立ち会ってあげる。」
未だに圭は仲を修復しようと躍起になっている。自分の事でもないのにそこまでしてくれるのは有り難いけれど、今回はありがた迷惑だ。
「冷静だし。後で連絡して会う日を決めて、週末に別れるだけだし。」
「咲楽ちゃんの強情っぱり。」
「違うし。」
「桐也さんの事が大好きなくせに。」
「…だから別れる。」
最初のコメントを投稿しよう!