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「その、さっきはすまなかった。…わざとじゃないんだ」
「大丈夫だよ?ボクは気にしてないから。お姉ちゃん、ボクのこと何も言ってなかったんだね」
「あ、ああ」
彼(?)…あかねの弟、森永ゆうの部屋に案内され、勧められるままベッドに腰掛ける。
「これから一週間よろしくお願いします。お兄ちゃん」
「ああ…」
そう言って俊はゆうを見つめる。
ゆうはフリフリの可愛らしいワンピースを着ていた。
ゆうは男のはずなのに、普通に……否、魅入る程似合っていた。
「お父さんがね…男の子が嫌いだから、小さい頃から女の子として育てられてきたの……だからボクにはこれが普通なんだ。変かな…?」
ゆうが上目遣いで不安そうに俊を見つめる。
―どき…
ゆうのその仕草に思わず胸が高鳴る。
(こんな天使みたいに可愛いやつが男なわけないだろ……)
「いや…変じゃない…」
俊の言葉にゆうは、ぱああ…と表情を明るく輝かせた。
「お姉ちゃんから毎日お兄ちゃんのお話聞いてたから、こうしてお兄ちゃんとお話するのずっと楽しみだったんだぁ」
ゆうが嬉しそうに微笑む。
(あかねが毎日、俺の話を……)
ゆうの言葉を聞いて、つい頬が緩む。俊は安堵する…どうやら、あかねに嫌われてはいないようだ。
「あっ、いけない。お客さんにお茶を出さなくちゃ。ちょっと待っててね、お兄ちゃん」
「おう」
ゆうは慌ただしく部屋から出て行った。
俊は部屋の中を見渡した。
家具はピンク色のものが多く、ぬいぐるみの数も多い。
(まあ……あいつも一応男なんだし、そういう物ぐらいあるだろ)
俊はベッドの下に手を突っ込んだ。
―コツ、
「お!」
手先に何かが当たる。
俊はそれを引っ張り出した。
「雑誌?ただの…?まあ、エロ本を隠す場所はベッドの下だけじゃないわな」
俊は雑誌をベッドの下に戻そうとする。
―バサバサ
すると、雑誌の隙間から大量の写真が落ちてきた。
「?」
俊はその中の一枚を拾う。
「え……!」
俊は自身の目を疑った。
他の写真を見ても同じだった。
「そんな……これにも……!俺が写っている…?」
「あーあ、見られちゃった」
俊は素早く後ろを振り向く。ゆうは笑っていた。
「大好きだよ、お兄ちゃん」
直後、後頭部に激痛が走り、俊は意識を手放した。
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