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そんなこと分かっている。
まさか女の私が言うならまだしも、彼氏に『仕事と自分どっちが大事なんだ』なんて聞かれるなんて思いもしなかった。
でも結局私が選んだのは『仕事』だった。
プライベートが充実してると仕事にも張りが出る。
そんなセリフ私には理解できなかった。
仕事が充実しているからこそプライベートが楽しめる。
本当に可愛くない女だと自分でも思う。
恋愛が邪魔だとか思ったことはない。
私にだって誰かに甘えたり、泣きたくなる瞬間だってある。
でもそれをしてしまうと、私じゃなくなってしまう気がして、素直に甘える事は出来なかった。
はっきり言ってキャラじゃない。
男の人と肩を並べて仕事をしている私。
誰が彼氏に甘えて泣いて、なんてする姿を想像するだろうか?
根本的に私を好きになった人は、私にそんな事望んでいるんじゃない。
さっぱりした男みたいな私を好きになるんだから。
だから余計に、そんな女な弱い自分を見せる事なんて出来なかった。
私はまだ残っていた早水さんに珈琲を頼み、もう一度今朝の資料を開いた。
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