4410人が本棚に入れています
本棚に追加
「織愛、お前ほんとに俺の事好きなのか?」
仕事終わりに彼氏に呼び出された駅前のカフェ。
「へ?急にどうしたん?」
決して順風満帆な付き合いではなかったが、私は特に不満を感じてはいなかったし、相手もなんだかんだいいながらも、私の仕事の忙しさに理解をしてくれていたはずだった……。
「俺と仕事どっちか大事か考えて欲しい。」
目の前に座る彼は、見た事もないような悲しそうな微笑みを浮かべていた。
「それって……」
「ごめん。織愛が仕事好きなのも分かってる。
でも俺、お前に思われてる自信がないんだ。」
突然訪れた恋の終わり。
でもなぜだろう?
涙も出なければ、引き留める言葉すら出なかった。
「ごめん、仕事優先は変えられない……。」
代わりに私の口から出た言葉に彼は『そうだと思った。』とまた悲しそうに笑った。
あ~やっぱり恋なんて、今の私には無理なんだ。
仕事が楽しくてしょうがない私にとって、恋愛は不向きなんだと確信した。
就職してこれで3度目。
1年続いた恋が終わりを告げた。
窓の外には楽しそうに行き交うカップル。
目の前にはさっきまで座っていた彼の姿はなかった。
あるのはまだ温かい、湯気を立てた飲みかけのホットコーヒーだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!