【好奇心】

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 肝試しだとか、その噂を確かめに来た人達だとか、きっと今の僕と同じようにこの穴を潜った筈だ。 そう思いながら地面を這っていると、茶色く変色した紙葛が目に止まる。 (なんだろ……?)  同じような紙葛が幾つも落ちており、僕はその内のひとつを手にとると懐中電灯で照らしてみた。 何やら消えかかった朱色の文字が読み取れたが、どうやらお札なのだろうと理解する。 そして身震いをひとつ。 (きっと、お祓いでもしたんだろうな……)  その時、徐に僕の足を掴む者がいた。 「おいてくなんて酷いよ!」  ひとり残された彼女が、慌てて僕を追いかけてきたんだろう。 少しだけホッとしたのは、紙葛を手にした時の、全身の血が引いていく感覚の為であり、僕に不安が生まれた瞬間だった。 「ゴメン、そんなつもりじゃなかったんだけどさ」 「分かったから、次は置いてかないでよ」 「あぁ、勿論さ」  敷地の中に足を踏み入れてからも、さっきの物音は続いていた。 僕達はその音の鳴る方角へと足を向ける。 その道中、建物に灯りを向けてみれば窓という窓の硝子は割れており、その外壁も黒い苔だか汚れだかで黒ずんでいた。
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