【好奇心】

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ポッカリと口を開けた室内へと灯りを向けてみたけど、何処までも続く闇は思っている以上に深く、かつては人で賑わっていた痕跡すら目にする事はかなわなかった。 ガツン――  再び、音の在処へと先を急ぐ。  外壁に沿って少しだけ進むと、一面が硝子張りであったのだろう正面入り口に辿り着く。 だろうと言ったのは、ここも一面コンパネが貼られており、その表面は放置された年月を教えてくれるかのように朽ちていた。 その表面には、スプレー塗料による落書きが埋めるようにして描かれており、地元の若者達が溜まり場にしていた事を容易に想像させる。 「ホラ見てみなよ、此処は単なる廃虚で幽霊だと思ってたのは地元の不良達だったのさ」 「じゃあ……さっきの音は何?」 カツン、カツ――  頭の少し上で鳴っている、音の所在へと懐中電灯を向けてみる。 揺れる影。 先の曲がったパイプらしき物体。 其処にあったのだろう、看板を照らす為に設置された、投光器の成れの果てだった。 「風に揺れてる照明器具。これを幽霊だと思った人達が勝手に噂を広めただけなのさ。君の友人はその噂をさも本物であるかのように語っただけなんじゃないのかな。君を怖がらせる為にさ」
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