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ぼくを見守ってくれる優しい現実のお母さん。それから、ぼくの隣にいつもいる写真のお母さん。二人のお母さんがぼくにはいるんだ。知らなかった。
「まだ教える気はなかった。けど、写真に写るってことは自分の存在を忘れて欲しくないのかもしれない。いや、息子と旅行に行きたかったのかもしれないな」
じゃあ、なんでお母さんの顔色が悪くなったの? なんて、笑顔で幽霊のお母さんについて教えてくれるお父さんに訊けなかった。
「お母さんの墓参りに行くか? そうすれば、きっと亡くなったお母さんも成仏するだろう」
そうしよう、とお父さんは満足そうに予定を決めていく。
「どのくらい息子が大きくなったか、伝えないとな。お前と、お母さんと一緒に」
ねえ、お母さん。
ぼくがお父さんに喋ったこと、間違っていたのかな? これでよかったのかな? わからない。わからないよ、お母さん。
……end?
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