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びりびり、びりびり。
ぐしゃり、ぐしゃぐしゃ。
写真を強く握りしめ、お母さんは破り始めた。その破った写真を丸めて小さく小さくしていく。
それほど見たくないのだろう。お母さんは「何もなかったわよね?」とぼくに尋ねた。なんて答えるべきなのか、ぼくは知ってる。だって、もう何度も繰り返したやり取りだから。
「うん、何もなかったよ」
「――……さない……この………」
お母さんがぼくを抱きしめた。痛いくらい抱きしめて、小さな声で何かを口にしている。
いつもお母さんは何を言ってるんだろう? ぼくにはよく聞こえなかった。
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