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旅行先にはいろんな人が暮らしているし、街を歩いているのだから、写真に見知らぬ人が写るのは当たり前だ。風景が写るのと同じだ、とお父さんが言う。
「違うよ」
それはぼくもわかる。けど、お母さんが気にしていることは違うんだ。
「幽霊が写るんだ。透明な知らない女の人が……ぼくはその人が怖くないよ。だって怖い顔、してないんだ」
「ゆ、うれい?」
お父さんは呆然とした様子でぼくを見つめた。
「しゃ、写真は? 写真はあるのか!?」
「あるよ。でも……」
ぼくが指差したゴミ箱に近付いて、お父さんは写真を探す。手にしたぼろぼろの写真を持って、お父さんがぼくの目の前に座った。
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