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「この写真の人について、知りたいか? お前には知る権利がある」
「……うん」
怖いけど、頷いた。
お母さんがあんなに気にしている理由がわかるかもしれない。それに、優しそうな写真の幽霊が誰か知りたかった。
「これは、お前の――お母さんだ」
「え、お母さん? でも、ぼくのお母さんはここにいるよ? 幽霊じゃないよ?」
「身体が弱い人だったから、お前を産んだお母さんはもういないんだ。今のお母さんは彼女の親友で、親友が生きた証であるお前を育てたいと言ってくれた」
「そう、なんだ」
写真に写る女の人について、予想外の答えだったから、ぼくは言葉につまった。
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