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「ねぇ魔王」
ぼくは隣の魔族に話しかける。
「なんだ勇者」
彼はぼくのほうを見ず、崖下に広がる燃える城を涙目で見ていた。
「君さえ死ななければぼくは永遠に生きられる。そうゆう契約なんだ。」
「だから我を貶めるのか。」
魔王は両手を繋いだ鎖を上げた。
その端はぼくの腕に繋がっている。
「ははは。敗者に待っているのは隷属か死、それは君らが証明してくれたじゃないか。」
「元々は貴様が…!」
見上げ、睨む魔王の頭を勇者は優しく撫でる
「そうだね。事の発端はぼくの誕生だ。けど、君たちがぼくの故郷を潰したのは事実だよ。放置を決め込めばよかったのに」
「我のせいじゃない!」
叫ぶ魔王、勇者はそれにも臆せず続けた。
「そうだね。君のせいではない。だから生かしてあげるんだよ。どうせ、ぼくはもう死んだことになってるだろうさ」
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