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そんなルミ子にとって兄の部屋で勉強できるのは最高に幸せだった。
優しくて、格好良くて、気さくなシンジはルミ子の理想だった。他の男なんてイヤらしくて汚いと思っている。
しかしシンジは写真の女性を眺めてうっとりしている。最近知り合った看護婦にシンジは夢中なのだ。
一方、ルミ子はそんな兄の気持ちが面白くない。
自分とは血のつながりがあるとは言え、ルミ子は兄の浮気を許せないのだ。
(ここにあなたに恋する乙女がいるんですけど!)
精々そう思いながら兄を睨み、勉強をするフリをして、シンジの彫りの深い顔立ちを眺めるくらいしか、ルミ子にはできなかった。
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