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そんなある夜。
「ルミ子?」
シンジがルミ子の顔を覗き込んだ。まつげが長くて彫りの深い顔がきれいで、思わずルミ子は照れてしまった。
「具合が悪かったら、部屋に帰って寝ろ。」
ルミ子は姉の部屋で寝ている。しかし、その部屋には夜明け前に、義兄が入ってくる。
実は今朝、姉の布団と間違えてルミ子の布団に義兄が入り、酒臭い息を吐きながら体を弄られ、一日中気分が優れないのだ。
「お兄ちゃん……。私、義兄さんが、怖いの!」
思い詰めたルミ子は泣きながら、シンジに抱きついた。そして今朝の悪夢を涙ながらに告白した。
「何だって!?」
シンジは義兄の仕打ちに怒りを震わせた。しかし一家の大黒柱には逆らえない。
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