認知

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「うわああぁっ!」 男性の声がして俺の目には部屋から 滑ったような姿勢で出てくる姿が見えた。 そのまま受け身も取れず 近くの床に。 カウンターが邪魔してもう見えない。 しかし、 「きゃああああああぁっ!!」 近くの客が悲鳴を上げた。 「!?」 「行こうぜ!仁!」 「あ、ああ!」 俺達は二人で立ち上がり 近くまで行く。 すると、 さっき出てきた男性がうつろな目をして 動かずにいる。 そして後頭部と背中にかけて血が。 「うげえぇええっ!!」 博文が横を向いて目を閉じる。 「!」 俺は動けずにいた。 そして妙に状況に目を配っていた。 横で、声を上げて動き回る店員達が 遠くにいるような気さえした。 男性のすぐ近くには柱があり 根元は固定のためか四角くでっぱりがある。 その一つが少しかけ血まみれ。 不幸な事故…そう、処理される事故だろう。 しかし、 何だかとてつもない嫌気に包まれていた。
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