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「…あ、…あの…。」
「!?」
《あっ。》
さっきの女性が申し訳なさそうに
下から俺を見てた。
多分、俺が気難しい顔をしてしまっていたんだろうな。
余計なことを考えていたし。
「…あ、…すみません。」
「いやいや。」
「…先ほどはありがとうございました。」
「いえ…そんな…
その…大丈夫ですか?」
「あ、はい…特には。」
女性は少し表情が緩んだ。
痴漢の緊張と少し不慣れでぎこちない自分の顔が
いい意味で緊張をほぐしたかもしれない。
「…、あ。
申し遅れました。
私、“水島 亜実(ミズシマ アミ)”と申します。」
女性はカバンから名刺を差し出した。
俺は名刺を受け取る。
「!?」
《中央生命科学試験所!?》
俺は思わず女性の顔を見てしまった。
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