脳の異変

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「? …あの、何か私の顔についてますか?」 「い、いや。 生命試験所なんて…凄い場所ですね。」 「いえ。」 女性は軽く頭を下げる。 俺も鼻を触って冷静に考える。 《そうだよな… いくら国レベルの公務員でも そりゃ結構いるもんだし、彼女が研究者で… まあ、医者とかも居るんだし…。》 そんなことを思っていると 鼻の奥に水分を感じる。 そのままその水分は鼻先から指へ。 「!?」 《いかん、鼻血か。 さっき殴られたし、鼻を触ってしまったし。》 俺は内ポケットからティッシュを鼻へ。 「あ、鼻が。」 「いえ、大丈夫です。」 「待ってください。」 「?」 亜実さんはカバンから水筒を取り出し 俺の鼻先軽く当てだした。 「…あの?」 「…こうやって冷やして鼻先の血管を 小さくするの。 下を向いて風を送って。 ティッシュもあんまり奥に入れちゃダメよ。」 《…流石…。》 俺はそんなことを思っていると もう鼻血は止まっていた。
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