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俺は、陽向には言わねえけど、やっぱり陽向の幸せになる方法を考える。
幸せになるようにしてやらないと、俺は姉ちゃんや義兄さんに合わせる顔がないんだ。
陽向を一人前に育てて幸せになるように…って、俺の願いだし、それにまだまだ義理や義務の意識もやっぱりあるから…
でも、俺自身が本当に陽向しかいないと思った時は……
陽向もこれが一番幸せなんだって納得できた時は……
俺はきっと…迷わない。
だから、今は陽向を苦しめる生殺しみたいなことだとわかっていても、『それじゃあ』と踏み切れない。
「ハル?」
急にぼんやりしている俺に、陽向は覗きこみ手を振る。
「う…ううん…悪い。で、裕太郎がウチに来るって言ったのか?」
「ハルの帰宅時間聞かれた。何時に駅に着くかとか…ウチに来たの?」
「駅で待ってた。歩きながら話して…太中先輩のことで悩んでるみたいだったな。アイツ、いつからああなんだ?」
陽向は思い出すように見上げる。
「ハルが退院してしばらくしてから気づいたのかな。俺もあの頃の記憶があやふやだから自信ないけど…たぶん、それくらいかな?」
「裕太郎、何かあったのか?」
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