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寺河さんが……戻ってこない。
20分経っても、45分経っても…
「おせ~のなあ…寺河のヤツ、なにやってんだ?」
椅子のキャスターを利用し、滑るように太中先輩は横にやってきた。
「もうすぐ一時間になるッスね…」
「だよなあ…男二人でまたしっぽりと」
太中先輩はクルリクルリと指先でペンを回転させ、首を伸ばし寺河さんの誰もいないデスクを見る。
「お兄さん美人さんだし、寺河のヤツ…初対面でムラムラっとなったんじゃねえか?天道に用だってのに連れ去っちまって…あ、でも知り合いっぽかったし。どんな関係だろ?」
『どんな関係』かは、こっちが聞きたい。
「寺河さんは理性が働く人だと思うッスよ」
「まあ、あのおかたい寺河に限ってねえとは思うけどな。気になる…」
『はあ…』と頭の後ろで両手の指を組み、ギシギシッと椅子を軋ませると、また仕事へ戻っていった。
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