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「あっぶ…火傷するぞ」
「裕次郎兄貴…みんなに認められるかな?」
心配そうな声で呟く。
「こればっかりはわからない…だけど、間違いなく裕典は反対しない。たぶん裕典ん家は他にも認めてくれる人がいる。幸せになれば…」
「『幸せに』か…それが簡単そうで難しい…ふふ…」
そう、簡単そうなのに、『幸せになる』って終わりがないのもあるけど、難しい。
「うちは…俺とハルだけだから…しがらみはないけど、バリケードがあるからなあ」
ズキンと心が痛い。
「それをこんな時に言う?」
「こんな時だから、言う♪」
はしゃぐような弾む声に、かえって心が痛い。
「陽向には…幸せになって欲しい」
「ハルが俺を好きになってくれたら、それだけで幸せになれるのに~」
「はいはい、好き好き」
「何それ?軽っ…軽すぎる…」
ネギを刻む俺の背中で、陽向は滔々と何かを言っている。
今日はもう勘弁してよ。
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