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いつもの時間の電車に乗り、いつも通りの時間に会社の最寄り駅の改札を出ると……
「よっ♪おっはよ」
太中先輩が待ってくれていた。
「おはようございます」
「昨日は、悪かったな。いきなり突撃しちまってよ」
「いいッスよ。おかげで…丸く収まったッスから」
太中先輩は裕太郎から聞いたのか『らしいな』と驚いている風でもない。
「土下座までしたって?」
「はい…今年のトップクラスのビックリ」
一緒に歩きながら昨日のことをかいつまんで話した。
「クールぶってるくせに、意外と熱いのな」
「裕次郎兄貴に関してはみたいッス。現実は厳しいと思うんスけどね。うまくいって欲しいッス」
「俺としてもここでアイツに道をつけといてもらわねえとな。俺の時にすんなりいかねえじゃねえか」
顎に指をやり『だろ?』と、悪代官顔負けの悪い顔で俺を見下ろす。
「黒っ…ちょっと見直してたのに、太中先輩の今の顔といい物言いといい、黒いッスよ~」
「人間、自分が可愛いのよ♪わははははっ…」
口ではこんなことを言って笑ってた。
二人を本当に心配してたくせに。
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