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「昨夜のうちに、俺の実家へは連絡済みだ。見合い相手にも断った。今頃は、両家で騒いでいるかもしれないな」
他人事のように話す寺河さんは、すっかり気持ちが切り替わっているようだ。
「裕次郎くんだっけ?聞いてて何も言わなかったのか?」
「彼の入浴中に済ませた。長話はしない主義だからな。要件だけ伝えた。親は何か言っていたが切ってしまったからな」
何て言うか、割り切ると行動が早いんだな。
「まあ、いいけどさ。寝グセつくくらい、昨夜二人で寝過ごすほど激しく楽しんだのか?」
太中先輩の質問に、寺河さんは顔を赤らめ髪を手探りしながら動揺している。
「あ…図星か…」
「おまえには関係ない」
「ええ?いいじゃねえか。こう言うことは隠す方が恥ずかしいんだって」
いや、普通は隠すだろう…
ベラベラ言う方が如何なものかと。
「『久しぶりだから、もっとゆっくりしてぇ~』とかあの顔で言われたら、止まんなさそうだし♪」
「それは俺の言った台詞だな」
そう言うと寺河さんは、理解に苦しむ俺達を残し戻っていった。
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