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「裕次郎兄貴の恋人は…ハルちゃんの上司なんだ」
裕太郎がポツリと呟いた。
「えっ…もしかして、ハルがとりもったのか?」
裕典は驚いて俺を見る。
「違う!裕次郎兄貴はハルが上司と出会う前から付き合っていたんだ。相手が海外へ赴任していた時だって、切れないでずっと…」
陽向は慌てて、すぐさま裕典に説明した。
たぶん、俺が二人をとりもったと勘違いして、俺と裕典の関係に影響しないように…
「裕次郎兄貴にとって、初めての恋なんだ。初めて誰かを好きになって…夢中になった」
「あの裕次郎兄貴が夢中になってるんだよ。俺は陽向と最初に出会った時の印象は、自己中で上から目線だし…正直印象が悪かったんだけど…」
『裕次郎兄貴と付き合ってるって知らなかった時だけどね』と裕太郎は陽向とまた顔を見合わせる。
「あと、裕典が好きそうなオマケが付いてる相手だよな」
「ああ…兄貴なら好きそうだね」
二人して『くくく…』と笑う。
肝心の裕典は、もったいつけられてイラッとしてきたのか、テーブルの上で指をトントン弾ませている。
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