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「なかなか顔がいいよ。クールな社会人…大人だなあって見える」
(うんうん…確かにね)
「あと家柄もなかなかだわ。なんてったって、テラカワフーズだから」
「ええっ!?あの?“男の飯や”の?じゃあさ、割引クーポン券もらえるんじゃね?豚のしょうが焼き割引券とか…」
裕典の目がキラキラと輝いている。
裕典、クーポン券が意外と好きだからねえ。
あと、あそこの豚のしょうが焼きが大好物なんだよ。
あ、ここんとこは太中先輩と似てるわ。
「かもね。家族割引券とかさ。そうだ、裕次郎兄貴に頼んでおけば?相手の人、三男だから外で修行してたんだけど、もうすぐ今の会社を辞めてテラカワフーズに戻るみたいだよ」
「へえ、戻るのかあ。家族割引券いいなあ」
ああ…
普段より真面目に機能していたと思われた裕典の頭の中が、二人の巧みな誘導で、“裕次郎兄貴の相手”から“割引券”へと切り替わっている。
しかも、当初の目的である『相手は男か?』の答えだって出てるのに、気づいてねえよ…
恐るべき台本なしの即興コンビプレイ。
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