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「よし!何がなんでも、兄貴の恋は成就させてやろうじゃないのっ!なっ…なっ」
裕典はパチンと手を打ち、『豚のしょうが焼きぃ~』と目の色を変えている。
「じゃあ俺は、全力で裕典兄貴の補佐をして、裕次郎兄貴を応援する」
「なんてったって、“家族割引”がかかってるんだからな。裕太郎、頼んだぞ」
「あ…ああ…」
目的が完全に“家族割引クーポン券”へとシフトチェンジした裕典なら、おそらく得意の話術でいくら親父さんが反対したって丸め込みそうだ。
「だけど…裕太郎ん家はそれでよくても、どうだろ…」
「あ?陽向、まだなんか問題だって言うのか?」
浮かれていた裕典が不服そうに陽向を見る。
「相手の家だよ。いくらこっちがよくても、相手がいることだから…」
陽向も裕太郎も、うまくいって欲しいが、どうしようもない“現実”もあるから心配そうに見つめあっている。
「裕次郎兄貴を、全力で守りきって欲しいな」
「守ってくれるだろ…でないと…」
二人は黙ったまま次なる言葉を探ってるようだ。
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