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「姉ちゃんも義兄さんも…親として陽向を溺愛してたからな。許してくれる。『もう可愛くってたまんねえ~』って目がすでに語ってたからな」
「親の贔屓目で“可愛い”レベルじゃなく、マジで可愛かったからな。“エンジェル”クラスだぞ」
陽向は嬉々としながら得意そうに話す。
「二人には“溺愛”してもらったよ。短い間だったけど、母さんにだって実の母親だって女より、いっぱい愛してもらった」
そして色々思い出したのか、うっすら目を潤ませた。
「早く行って二人に言ってこいよ。義兄さんはメソメソしてっかもしんねえけど、姉ちゃんだったら『いいのいいの』って笑い飛ばしてくれるだろ」
「母さんなら言ってくれそう」
陽向は安心したように立ち上がる。
「…………絶対、覗くなよ」
「いつからおまえは昔話の鶴になったんだ?」
「ハルに見られたくねえんだよ。察して空気読んで欲しいわ」
「はいはい。見ない見ない」
陽向は何度か『覗くな』と釘を刺し、熱いお茶を三人分用意すると、お盆にのせてやっと行った。
今さら覗く覗かないもないと思うんだが…
プライドが意地でも高いからな。
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