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『ねえユリちゃん…僕は裕次郎が幸せならそれでいいと思うんだけど…どうなの?』
じいちゃんがばあちゃんを見た。
『私もそう思うんだけどねえ…誰に似たのか、我が息子ながら古臭い堅物だから』
『ちょ…父さんも母さんも…何を言い出すん…』
『いつまでも、すんなり流れるようにと目の前の岩を避けてやれないんだよ。自分達の方が歳を考えりゃ、先にオダブツだからね。こればっかりはどうしようもない』
ばあちゃんは『よっこらせ』とじいちゃんに支えてもらって立ち上がり、二人で裕次郎兄貴と寺河さんの前へ行き、裕次郎兄貴と寺河さんの手をとった。
『この子は優しすぎて、中身がこのじいさんに似たのかおっとりしてるからね。心配してたんだけど、なかなかじいさんに似て見る目があったみたいだ』
『ば…ちゃ…』
『寺河さん。昔と違って、何かとひらけたと言っても、二人の関係をまだまだ世間は認めてくれないだろう。けれど私はね、こそこそ隠そうとせず、堂々と来てくれたことが嬉しいんだよ』
寺河さんも顔をあげ首を振る。
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